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  • 執筆者の写真飯室淳史

B2Bマーケティング座談会(2)MA導入の「夢」とマスターデータ管理の現実

マーケティングオートメーション(MA)の現状

 ZDNet:B2BマーケティングのIT関連のトピックでは、マーケティングオートメーション(MA)が2015年ごろから多くの企業に導入され始めていますが、なかなか実情がわかりません。今どのような状況とお考えですか。


 飯室氏:やはりマーケティングオートメーションはマーケティング部門だけで導入できてしまったので、私がいたグローバルのGEでも「入れてしまった」という状態でした。日本の場合、展示会や営業経由で集めた顧客の名刺の情報だけしかマーケティングは取り扱っていません。実際には修理部門からコールセンター、注文など社内にはたくさんの部署があるのに、マーケティングオートメーションをつなぐのはウェブとメールのデータベースだけなんですね。


 すぐに使いたいマーケターは、Oracleなどで管理しているエンタープライズのデータとは切り離されている状態でも、とにかくやろうとするわけです。受注やコールセンター、広告などのデータともつながっていない。これらをつなげるという夢を持ってはいるのですが、実際には修理やコールセンターでつながろうとしてくる顧客は無視して、引き合い案件を取りにいくという機能だけを使ってしまっている。


 グローバルでは数年前にカスタマーエンゲージオートメーション(CEA)というプロジェクトが走りました。要は日本語でいうところの”プライベートDMP”のようなものをB2Bでやりましょうというわけです。それは結局、一気通貫でデータをつなげて横串を刺すという理想的な話で、現実にはユーザーデータベースだけで26種類あって、社内に横串を指すべきデータベースは80以上ある。


 さすがにGEでも、2年間やったこのプロジェクトは頓挫してしまいました。IT部門もきちんと議論に入りましたし、外部のコンサルティングも入って、素晴らしい絵を描いたのに。今は何をしているかというと、CMSの機能がすごく上がってMA並みになってきたので、そちらの方が面白そうだという流れに変わっています。MAはうまく使いこなせなかったというのが現実ですね。MAを使いこなせていないところが一所懸命やっているのは、まだ夢を持ってやっているのかなという感じです。


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