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執筆者の写真飯室淳史

日経BIZGATEセミナー解説資料その0

基調講演

私が失敗から学んだ 「営業とマーケティングの連携を加速させる3つの本質」

講演内容

 私の経験では「営業とマーケティングが連携できない」のは日常茶飯事で、そんな営業とマーケティングの視野狭窄な内輪揉めのモグラ叩きをしてみたものの何も変わりはしなかった。それに「売ることにしか興味が無い営業部」と「お客さまの声を聴かないマーケティング」が形だけの連携なんかしても、売上はいっこうに拡大しなかった。つい焦って他社の成功事例を上辺だけ真似すれば失敗したし、デジタル変革だと聴いてツールだけ導入したところで誰も使いこなせはしなかった。

 本来すべきなのは、社内の営業とマーケティングの連携だけに目を向けるのではなく、まずはお金を払ってくださるお客さまに向き合い、すべての部署の全社員が連携することで、より価値ある製品とサービスを造りあげ、お届けすることによって、お客さまの問題を解決して、お客さまの成果を最大化して、お客さまの事業目標の達成を支援し続けることだったはずだ(遠い目)。

 そんな「失敗の神様の友達」を自負する私が数え切れない失敗から学んだ「営業とマーケティングの連携の先」へと加速するために必要なたった3つの本質をシェアしたい。


飯室 淳史

元GE Healthcare, Life Sciences グローバル・デジタル CMO

元GEヘルスケア・ジャパン株式会社 執行役員 ライフサイエンス事業統括本部長

B2Bhack.com合同会社 代表


略歴

世界有数のB2B企業である米GE(ゼネラル・エレクトリック)で、営業とマーケティング両方の統括本部長からアジアパシフィックCMO、日本のカントリーマネージャー、執行役員までを経験し、日本人で唯一のグローバルデジタルCMOとして、同社のデジタルマーケティング戦略の全世界統括をした異例の実務と経営リーダーの経験を持つ。


日経xTECHにて2017年4月から毎月連載記事を掲載中



日経BIZGATEセミナー解説資料 はじめに

 

■本当に「営業とマーケティングの連携」になにか問題があるのだろうか?

 私が初めて日経の大規模マーケティングセミナーで講演したの2012年のことだったが、すでにその頃から「営業とマーケティングの連携が上手く行かない」とか「どうすれば営業と上手く連携できるのか?」とか「営業とマーケティングがきちんと連携してくれさえすれば」と言われていた。あれから7年も経った今でも「営業とマーケティングの連携」が問題視されているのは、

  • よほどこの問題の根が深く解決が難しい

  • 問題の解決方法を間違えている

  • 「営業とマーケティングの連携」を問題視すること自体が間違っている

のかも知れないとさえ思ってしまう。皆さんはどう思われるだろうか?


■そもそも問題って何だ?

 「問題だ、問題だ」と毎日のように部下や同僚や上司から問題を持ち込まれる皆さんは「問題とは何か」をどう定義づけておられるだろうか?


あのウィキペディアを見ると、こう書いてある

問題(もんだい、: problem)とは、(問題解決の分野では)現状と目標との間にある障害(差、ギャップ)のことである。


問題が単独で存在するのではなく、ゴール(目的地・目標)と現状(いま居る場所)とのギャップ(距離・差分・障害・チャレンジ)を「問題」であると定義すると、こんな図になるはずだ。


 ちょっと、昔の話で恐縮だが、小学校の時に友達が遅刻してきて先生にこう問われた。

先生「なぜ遅刻してきたの!?」

友達「・・・・・あるいてきたから」

先生「じゃ、明日からはどうするの?」

友達「・・・じゃ、はしってくるよ」

そうじゃない。

 真の原因、本質に迫れていない裏表の刹那的な対症療法でしかない解決策は何の助けにもならないが実際に

  • 売上が足りないから、売上を増やそう

  • コミュニケーション不足だから、 コミュニケーションを活性化しよう

  • 残業が多いから、残業をなくそう

  • 組織の一体感がないから、一体感を出そう

  • 危機感がないから、危機感を持たせよう

こうなると、もはや笑い話だが実話である。皆さんにも覚えがないだろうか?


■「営業とマーケティングの連携」が上手くできないから、ちゃんと連携しよう?!?

 「営業とマーケティングの連携」はゴールではなく、ゴールを達成するための手段に過ぎない。連携がうまく出来ない問題を抱えているとしたら、いったい何をゴールにしているから問題だと認識しているのだろうか?


  • 売上をあげること? いやそれは単に営業の目標数字の話だ

  • マーケットシェアを上げること? いやそれはマーケティングのKPIだ

 そもそも、会社の目標は何だったのか、何のための会社なのか、会社のミッション(使命)、ビジョンはなんだったのか、何を実現するために存在する会社なのか、そんなことなど考えもせずに、視野狭窄に陥って、自分の部署のことだけに、目の前の問題ばかり追いかけてしまっていた。


 もし偉そうに言っているように聞こえたら申し訳ない、お詫びする。実は私が営業の責任者をしていたときは、(お客さまの声を聴かないような)マーケティングとの連携が上手く行かないことは問題だ(どちらかというと気に食わない)と思っていたし、マーケティングの責任者をしていた時には自分が昔は営業だったことなどすっかり忘れて、(売上を上げることにしか興味を持たない)営業との連携に頭を痛めていた(すっかり営業が嫌いになっていた)。そして毎日のように持ち込まれる「営業とマーケティング」の問題を片っ端からモグラ叩きをしていたが、いっこうに問題は減ることがなかった。


 そんなモグラ叩きばっかりしていたせいで、すぐには解決できず、何年も試行錯誤を繰り返し、失敗に失敗を重ねてようやく「営業とマーケティングの連携の先」へと加速することが出来たのだ。


 それはモグラ叩きをするような対症療法ではなく、必要なのはたった3つの本質を突き詰めるだけで良かったのだった。


 基調講演では、失敗から学んだ「営業とマーケティングの連携の先」へと加速するために必要なたった3つの本質をシェアしたい。

 


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