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執筆者の写真飯室淳史

事後の読み物 その1東京会場Q&A


質問をリロードしてコメントする


東京会場に300名定員に700名の応募がありましたことに、まずは御礼申し上げますと供に、400名以上の方に会場までお越しいただけましたことに感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

また、こうしたセミナーでは珍しい長丁場のQ&Aセッションを設けてくださった日経さんもレスペクト。


さて、もう一度質問をリロードして、新たな気持ちでコメントします(実際には、もはや、なんとコメントしたのか、覚えていないので)



1)「人を動かす」にはどうしたらいいか?


ありがとうございます、今日の話にもありましたように、「馬を水飲み場に連れて行くことは出来ても、馬に水を飲ませることはできない」は、どうする、と小賢しく立ち回って、人を動かそうとしても、そんなことはすぐに見破られ、相手に丸っと判ってしまうので、北風と太陽ではありませんが、動かそう、動かそう、とすればするほど、動いてくれなくなり、しまいには「動かない」どころではなく、反対したり抵抗したりするようになるまで追い込むことになるので、「動かそう」という上から目線の傲慢な気持ちを捨てることです。


ご自分だって、誰かに「動かしてやろう」と働きかけられれば、すぐに気づくでしょうし、嫌な気持ちになるでしょうし、おとなしく黙って従うこともないのでしょう?


自分がされて嫌だと思うことは職場でも、やらないほうがいいですよね。


結局、これは適応課題(事前の読み物その3で解説済み)であり、人々が変化を受け入れて、環境変化に適応する出来る自己変革能力を獲得することでしか、「自ら動く、自ら変わる」ことはないのですから、「動かそう」とするのではなく、本人が喜んで動きたい、と思わない限りは、無理なのです。もちろん、上司の強権を発動して、頭ごなしに命令することも出来るでしょうし、世の中には未だに相手の人権を無視してパワハラと訴えられても気にせずに、脅して言うことを訊かせようとする人もいるかも知れません。でも、それでは、すぐに元に戻ってしまいます。


ひとつは、相手が自分からすすんで、喜んで動きたいと思える環境を提供できるかどうかです。よく言うところの安心安全な職場、と言うだけではそうなりません。社員ひとりひとりの自己実現を支援できる職場であることが求められています。これを「エンゲージメント」という人財育成手法で考えてみると判りやすいでしょう。


すでに、エンゲージメントは、

日経xTECH連載記事 リーダーシップの側面から人材育成戦略を考える(下)https://active.nikkeibp.co.jp/atclact/active/17/040600053/051400014)で詳しく解説しているので、お読みいただきたいのですが、簡単に申し上げますと、


 会社には、会社の目標(ゴール)がある。ビジョンと呼んだり、ミッションと呼んだりもするが、何のために存在して、何を成し遂げたいのか、という共通の目標である。

 同様に会社で働く従業員(右下)にも、目標(左上)がある。将来の夢があり、成し遂げたいゴールがあり、いつかは成功したい、自己実現をしたい、思っている。

 一目で分かるように、会社が向かう方向(左下↗右上)と、個人が向かう方向(右下↖左上)は全く異なる方向を向いている。これは当たり前だ。

 この異なる目標を持っている会社と個人が交わる部分が、仕事(図の中央)になる。



交わっているからといって、この部分が会社の成功と個人の成功を意味しているわけではない。もっとややこしくなるので、次の図で引き続き解説する。

 この交わっているところを、さらに4分割する。



「自己満足」は、従業員だけが楽しく働けているが、会社に貢献していない状態である。従業員は自身の成功をこの会社で実現できて幸せに思い、働くことが楽しくて仕方がないが、会社は不満を感じている。

「滅私奉公」は、社員が滅私奉公して、社員の能力や労働力を吸い上げる(搾取する)だけに近い状態である。従業員は仕事をつらく感じているが、会社は業績が好調で社員の働きには満足しており、このまま行けば会社の成功は間違いないと喜んでいる。

「共に幸せ」は、もはや説明の必要もないだろう。個人は自己実現欲求を満たせるほどに成功して、やりたいことをやり倒しつつ楽しく仕事をできている。それだけでなく社員の貢献のおかげで会社の業績も好調で、事業も成功している状態だ。


より詳しく事例も交えた解説は、日経での記事を御笑覧いただきたいが、この「エンゲージメント」こそが、「社員が自ら動き出す」原動力の一つになる。


社員を動かしたい、と思うのであれば、自ら動いてくれるエンゲージメントの高い関係と職場環境の構築に力を注いでみてはどうだしょうか?


とはいえ、すぐにエンゲージメントを実現できるわけではないし、どうやってエンゲージメントを高めるかは、あなたの会社固有の課題であり、マニュアルがあって誰でもすぐにできることではない。これも適応課題として失敗を恐れずに、リスクを取って決断し、失敗から学び試行錯誤をして、成功するまで繰り返すことで、エンゲージメントの高い職場環境を構築していくしかない、時間は掛かるのだ。


2)B2Bハックカード、このツールを会社に戻って使ってみたいが、使うときのコツやポイントは?


ありがとうございます、ぜひとも使っていただきたいんですけれども、所詮ツールです。このツールを使うことが目的では無いわけですから、最も大切なのはそのツールをこのハックカードを何のために使って何を成し遂げたいのかといった目的を明確に持っていただきたい。ただ使いたい、なんてのは意味がない。


  • このハックカードは、順序立てて、問題の発見と定義、そして問題の解決を行うためのツールです。

  • もちろん1人で使うことも出来ますが(もしくは1人で演習してみる)、威力を発揮するのは、生まれも育ちも経験も違う大勢の仲間と一緒に使うときです。

  • セミナーの話だけでは、不安で使えないかも知れない、とお思いであれば、以下の二つが独学独習に役に立つかも知れません。


日経xTECH連載記事 お客様に時間を売る(2)〜(3) https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00025/102300003 で、ハックカードの使い方の詳しい説明と、実際に製薬会社におけるプロジェクトで「問題の発見と定義、解決の技法」の実例が紹介されています。


YouTubeで「B2Bハックカードの使い方」という5分30秒ほどのビデオがあります。




より詳細なハックカードを使った組織の変革の加速に関する記述は、現在執筆中ですので、お待ちいただくしかありませんが、この2つでよく演習をして、後は失敗を恐れずに、リスクを取って決断し、失敗から学び試行錯誤をして、成功するまで繰り返すことで、自分のハックカードの使い方を会得なさっていただければと思います。



本当は、こうしたツールの使い方のコツ、それをここで聞いてしまったら、馬鹿になります。最初から上手くやろうなんて言うスケベ心があるから、コツを知りたくなります。


最初からは絶対に上手くつかえません。


もともとこうした考え方で仕事をしてきた人は、自分の体験や思考をハックカードで整理することが出来るので、すぐに使うことが出来るかも知れません。



3)経営者が設定した課題が違うな〜と思うことがあるんですが、つい従ってしまう。どうしたら、いいんでしょう。


経営者が間違っているのか、あなたが勘違いしているだけなのか、それは誰にもわかりません。


基調講演の一番最初のスライドで申し上げましたように、「それは違う」と相手を否定することから始めると何も気づくことが出来ず、学ぶことも出来ず、成長することはありません、そのうち裸の王様のように、自分の聞きたいこと、知りたいこと、心地よいことしか受け付けなくなって馬鹿になってしまいます。


もちろん、違うなと思ったら、「私は、違う意見があります(違うと思います)」と言えば良いんです。


経営者と違う意見を言うことは、とても勇気がいることでしょう、判ります。私も38歳くらいまでは上司にモノを申す勇気を持てず、変だな、違うな、おかしいな、と心の中で思うことはあっても、黙り込んでしまう口でした。


でも大丈夫、死ぬことはありません、是非とも経営者と喧嘩してください、首になることはないし、せいぜい左遷か、嫌がらせで済む、給料は下げられない。別に喧嘩をすることが目的ではありませんから、けんか腰で対峙する必要はありませんが、まだ、何もしないうちからどうしようなどと言っていないで、徹底的に話をしてはどうでしょうか?


どのみち人間は、他人の考えを読み取ったり、理解できるテレパシーなんて魔法はないので、話をする、顔の表情を見る、相手に触れるといった五感を通じてでしか、相手の考えていることを理解する方法はないのです。所詮、他人とはわかり合えないのですから、お互いの「わかり合えた!」と錯覚できるくらいまで話し合うことだと思います。話し合わないうちから、「相手が違う、間違っている、おかしい」と思ったくらいで、ナニカ判断して、行動するのでは、道を誤ります。もちろん道を誤ったらやり直せば良いんです。


日経BIZGATEセミナー解説資料その1https://www.b2bhack.com/blog/pre-reading1)の最後で皆さんに質問したように、経営者と違う意見を持っているのは、それは

  1. お互いをよく知らないから

  2. 知ってはいるが理解はできないから

  3. 理解はするが価値観が違うから

  4. 価値観は同じであるがゴールが異なるから


必ず、この4つのうちのどれか(もしくは全部)が当てはまるはずです。その溝を埋めるには、話をする、顔の表情を見る、相手に触れるといった五感を通じてでしか、相手との溝を埋める方法はないのです。


ぜひとも、失敗を恐れずに、リスクを取って決断し、失敗から学び試行錯誤をして、成功するまで繰り返してみてはいかがでしょうか?


4)海外の部署とのコミュニケーションが上手くいかない、難しい、海外経験からのなにかコツやヒントがないだろうか?


頻度を伺ってみると、週に2〜3回とのことですが、日本にいる直属のメンバー、隣の席の同僚、上司、最も一緒に働く仲間とも同じ程度のコミュニケーション頻度で仕事をしているのでしょうか?


そもそも普段のコミュニケーションの頻度が低すぎる、と感じます。まだまだ十分なコミュニケーションをしているとは言えない。私がグローバルの責任者だったときには、毎日、用があってもなくても連絡取り合ってみていました、声を聴き、顔を見て、相手の気分や調子を知る、一緒に働く仲間が元気に楽しく、気分良く職場で働けているか、体調は、顔色は、と気遣うことは出来ていますか?


やること徹底的にやり倒してみてから、「難しい」と言って欲しい、技術的に難しいことなどないはずです、まだまだ甘いと自分を戒めて、徹底的なコミュニケーションをしてから、それでも上手くいかなければ、悩んでみると良いでしょう。


ご質問ありがとうございました。


名古屋、大阪、福岡会場の皆さん!! どんな質問でも悩み相談でも、勇気を持ってぶつけていただければと思います、よろしくお願いいたします。


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